松戸稲門会の歴史:世界初のバットに挑戦 ~石井順一さんのこと~

石井順一さんといえば、「ああ、あの石井さんだ」とびっくりする人も多い。王さんのバットを作ったバット作りの名人、そして元中日の谷沢が今でも「心の師」と仰ぐその人だ。戦前の早慶野球の全盛時代、早稲田の名三塁手、ゴルフでも日本アマのベストテンに入るほどの名プレーヤーだった。

 明治32年生まれの88歳。しかし、みじんも年を感じさせない。運動具製造の有限会社ジュン・イシイのバリバリの現役社長でもある。

 本塁打は量産されるが、予想以上に早くひび割れするなど欠陥金属にこのほどプラスチックバットを考案、特許も取った。飛距離に加え、耐久性、安全性を重んじたプラスチックとガラス繊維(FRP)を素材とした世界初の新型バットだ。

 早実、早大と歩んだ生粋の早稲田マン。現役時代、学生野球の父・安部磯雄先生の薫陶を受け、酒もたばこもやらない。ただコーヒーには目がない。おいしいコーヒーと聞くとどこへでも出掛けていく。

 「松戸に住んで50余年。松戸に念願の稲門会が出来、うれしいねぇ。しかも、若い人たちがどんどん活躍してくれる」と、一周年を前に初代会長は目を細める。

阿部記「昭和62年6月会報より転載」

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